ナロン依存症 (ミャンマーの暗部)

日本に帰るたびに聴かされるのが、亡くなった人と離婚したカップルの話。 アルコール中毒というか依存症だった知人が、40歳を越えたあたりで、4,5人亡くなっていた。
この国でも、政治が悪いと声高にいろんな人が言っているが、ヤンゴンでの生活も10年になってくると、庶民レベルでこの国を覆っている悪習が、腐敗臭を撒き散らしながら蔓延しているのを知った。ナロン・トンロンといわれるギャンブルだ。ナロンは、タイの宝くじ番号の下2桁を、トンロンは下3桁を当てるギャンブルで、当たると掛け金がそれぞれ8倍と80倍になる。


月曜から金曜日まで、午前1回午後1回あり週に10回賭けることが出来る。ほとんどの人が胴元に
電話で注文し、まとめて掛け金を後払いしている。ナロンにしてみても、確立は100分の1である。トンロンになると確率は1000分の1。私は、全く博才もないし、日本でもギャンブルには全く興味も縁もなかったが、ずいぶん昔マカオに3,4回行った時に、けち臭い「大小」というギャンブルをやったことがある。
「大」か「小」だから確率は50%のゲームである。しかし、2分の1の勝率であっても、ギャンブルは結局は負けるのである。それを1%の確率しかないナロンになんで、こうもミャンマーの人達が入れあげるのか?不思議でならない。というより馬鹿げていると思う。このナロンで家や車、店舗を投げ出した人、夜逃げした人。刑務所に入っている人、ものすごい数になると思う。やり始めると、止められなくなるらしい。だから依存症なのだが、、、。
先日も、久しぶりに歩く道で、繁盛していた喫茶店が名前が変わっていたので「あれっ?」と思っていると、友人が「前の経営者がナロンですって、サテン取られたらしいよ」と。実に悪しき習慣が、ミャンマー中に充満している。政治の事はもう何十年も膠着状態で、庶民にはなかなか手が出せる問題ではないが、実はこのナロン、トンロンでの生活破壊者が、庶民生活の悪しき癌であると思うの
だ。
最近、知人と話していて、彼女の一家は、兄弟3人とも大学を出て。兄は日本から帰国し、姉は今ドバイのホテルで働いている。友人も3ヶ月の日本観光から戻ってきたばかり、一家は庶民のレベルから見ると、ハイクラスの一家である。しかし、3,4年前にに両親がナロンに犯されて、家族崩壊の寸前まで行ったそうだ。知人がもう体を張って、両親を説得し、自殺未遂までして家族のナロンを止めさせることに成功したのだ。
これほどインテリの家族でも、大学の先生でも、市場のおばちゃんでも、本当に膨大な数の庶民がこの悪習に染まっている。そして金をなくし、他人から借金してまでナロンが止められず、、裁判や訴訟もやたら多い。
日本にいるミャンマー人も無縁ではない。 長年日本で苦労して稼いだ金をミャンマーに送金し、時々は電話でお金がきちんと届いたことを確認し、そして数年後にミャンマーに戻ってみると、そのお金はヤンゴンにいる家族がナロンで全て喪失していたという話もよく耳にする。
私は、前々より政治問題云々よりも、このナロン、トンロンが本当の意味でのミャンマーの患部だと思うしだいである。

「ナロン依存症 (ミャンマーの暗部)」への3件のフィードバック

  1. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1)
    今回の記事は読み応えがありました。
    ナロン、トンロン、よくやっていますね。
    うちの妻はギャンブルには興味ないので、その点は
    よかったと思います。
    このようなギャンブルは元締めが儲かるようになっているのに、なぜこうのめりこむのかわかりません。

  2. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322)
    残念です。
    仏教徒の国なのにどうして。。

  3. 海外からの、

    テレビで放送していました。日本観光に来る外国人の志向が変わってきているのだそうです。日本人らしい、ということなのか、下のようなツアーが人気なのだそうです。デパートの開…

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