サヤーとウッレーの間

ミャンマーに漂着して早10年。ミャンマー人から本名で呼ばれる事は、ほとんどなくなった。G&G旅行社のマ・カインカインエーが、唯一私を本名で呼ぶ。他はほとんどがサヤーで済んでいる。サヤーは本来「先生」という意味だが、会社でも上司はサヤーで済まされる。またレストランなどでも、従業員はお客をサヤーと、呼んでいるようだ。
しかし、時々、道端で話しかけられる場合や、服などを買った店で「ウとかウッレー」と呼ばれることがある。意味はおじさんという言う意味で、年齢的にも立派なおじさんなので、別にウーと呼ばれることに不満がある訳ではない。
最初惑ったのは、サヤーとウーの違いである。ジョルダーノというファッション・メーカーがある。本社がタイの製品だか?香港だか知らないが、このメーカーも、ミャンマーに進出して10年、店舗も増え客はほとんどミャンマーの裕福層。
ここの女性店長は、絶対に私をサヤーと呼ばない。ウーである。☆他の服飾の店では、かなり年配のオーナーでも、私を「サヤー」と呼びかける店もあるのだ。サヤーという言葉の意味するものは、呼びかける者が「自分はあなたより下ですよ」という意味も含まれているし、より親しい場合に使われる。また、ウーという呼びかけが尊敬の意味が全然ないわけでもない。言葉ひとつの問題だがウーンなかなか奥深い。