ヤンゴンに日本から持ってきているCDが多々ある。各種ジャンルもバラバラでクラシックから映画音楽、歌謡曲、ボサノバ、ロック、フォーク、シャンソン、オペラまで楽しんでいる。Lーサンズィは、去年から急に出てきたカチン族の女性ボーカリスト(宗教はクリスチャン)です。声が美しく、音程も正確。CDジャケットにも顔写真が無く、ポスターも無くて仕方なくDVDに出演中の姿を撮影して見ました。(難しい!)
ディズニーのアニメ「ポカフォンタス」のヒロインのような顔立ちです。彼女の出身であるカチン州の中心都市ミッチナーには、バプテストの堅牢な石造りのキリスト教教会等も見られます。(2005年に行った)ミャンマーの歌手にクリスチャンが多いのは、やはり子供の頃から賛美歌などを「歌う」習慣や教育を教会で受けるからだと思われます。ご存知のように、ミャンマーの学校では音楽や体育の授業は基本的にありません。五線譜や発声等をおそらく全く習わない人たちが大半です。
ですから家庭環境もあるでしょう、音楽は子供の頃からの教育がかなり影響すると思われます。実際兄弟で歌手も多いです。私は綺麗な声が好きで、ずいぶん前に持ってきた由紀さおり・安田祥子姉妹の「日本の童謡」のCDも時々聞きます。ミャンマーの歌で部分的に歌えても全曲丸々歌える唄も無いし、それで時々日本の童謡などを懐かしく聞いて、ゆったりとした時間を楽しんでいるのです。
いつ頃からか?由紀さおりの「生きがい」をミャンマー人がカバーで歌っていて、なかなかヒットしている。それがLーサンイズィだとこの頃知った。綺麗で癖の無い美声で確かな音程。山口百恵の「いい日旅立ち」をカバーしているチョースーキンの時のように「ナンじゃこりゃ??」とは思わなかった。なかなかLーサインズィのカバー曲は耳に心地よい。
確か「生きがい」は1970年の由紀さおりのデビュー曲「夜明けのスキャット」に続く曲である。童謡歌手で姉とともに活躍した後、25歳で再デビューした由紀さおりだが、「夜明けのスキャット」はその年の、ミリオンセラー1位(150万枚 オリコン調べ)で、今まで年間ミリオンセラー中、最も日本語の歌詞が少ない記録でもあるらしい。
いっその事その美声を生かしてLーサインズィには、この「夜明けのスキャット」を変に全編 めそめそしたミャンマー語訳にせずに、オリジナルのスキャットで歌って欲しい。しかし、37年前の日本のヒット曲を日本から持ち帰ったミャンマー人がいるんですね。
*余談ですが、童謡歌手からスタートして芸能界で息の長い由紀さおりにも改めて感嘆した次第です。
*画面にJAVAとあるのは、インスタントコーヒー・メーカーのCMです。このところ映画やミュージックのVCDやDVDでは、メーカーから資金を得てタイアップの作品が増えてきています。DVDを発売しても、翌日にはコピー盤が出るミャンマーでは、発売しても正規盤はコピーに押されそれ程売れません。台所事情の苦しい歌手や製作会社には嬉しいタイアップでしょう。広告を提供する会社にして見ても、コピーされても見られれば広告に繋がるわけですから、これは両者両得といった構図でしょうか。